パーキンソン病とは ー どんな治療法があるのか?

どんな薬があるのか?

 パーキンソン病の治療では、主にドパミンを補充して症状を軽くする治療が行われます。パーキンソン病の薬の中心は、ドパミンの原料となるレボドパ(L-ドパ)製剤と、ドパミンの代わりをするドパミン受容体作動薬(ドパミンアゴニスト)です。そのほか、レボドパを効率よく使う薬として、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬があります。それ以外の薬としては、アデノシン受容体拮抗薬、塩酸アマンタジン、抗コリン作動薬、抗けいれん剤などがあります。
 これまでは、「レボドパ製剤の使用開始はできるだけ遅く」という考え方が主流でした。しかし今では、「早期からレボドパ製剤を使用しても治療を行う」というように変わっています。
 レボドパ製剤は、非常によく効き、比較的安全性も高いのですが、長期間使っていると、自分の意思とは無関係に体が動いてしまう「ジスキネジア(不随意運動)」という症状が現われてくることがあります。また、レボドパ製剤を何年か使っていると、薬の効いている時間が少しずつ短くなり、薬の効いていない時間帯があらわれるようになります。これを「ウェアリング・オフ」現象といいます。そのほか、「オン・オフ現象」*「ジストニア」**という症状もあらわれることがあります。
 ドパミンアゴニストには、「ジスキネジア」や「ウェアリング・オフ」はほとんど見られませんが、眠気、むくみ、幻覚、妄想、あるいは衝動的に湧いてくる欲望をコントロールできない衝動調節障害、といった副作用があります。
 近年、薬をより安全により効果的に使用するために、さまざまな工夫が施された製剤が使用できるようになってきました。ドパミンアゴニストでは、1日1回の投与で効果が長く続く飲み薬や皮膚から薬が吸収される貼付剤、患者さんが自分で皮下注射するものがあります。レボドパ製剤では、COMT阻害薬の合剤があります。また、胃ろうを通じて、チュープで薬の吸収部位である小腸までレボドパを届ける新しい治療法も使用可能になりました。それにより、レボドパの血漿中濃度が一定になり、レボドパ製剤の長期の服用による「ウェアリング・オフ」や「ジスキネジア」が出現しにくくなります。

*「オン・オフ現象」薬を飲んだ時間に関係なく症状がよくなったり悪くなったりする
**「ジストニア」筋肉がこわばって痛む症状

どのように薬を使うのか?

 現在のパーキンソン病の薬物治療では、レボドパ製剤やドパミンアゴニストを単独で使ったり、混ぜたり、必要に応じて他の薬と組み合わせたりします。そして、患者さん一人ひとりの症状、年齢、そのときに飲んでいる薬の量や種類、投与の方法をみて、細かく調整していくオーダーメイドの治療になります。

外科手術「DBS」とは?

 現在、パーキンソン病の治療の中心は薬物治療ですが、脳深部刺激療法「DBS」は薬物治療と組み合わせて効果をあげることを目的としています。薬物治療は長期にわたって使用していると、効き目が悪くなってくる、ジスキネジアなどの副作用がでる、といったことがあります。そこで薬以外の治療の選択肢として、DBSという外科手術が保険で受けられるようになりました。DBSは、パーキンソン病を治す治療ではなく、症状をやわらげる治療です。手術を受けても、やがて病気は進行します。
 治療は、脳の中に電極を、胸部に刺激装置をそれぞれ埋め込み、両方をリードでつないで脳に電気刺激を与えます。脳にずっと刺激を送れるので、24時間一定の効果が得られますが、局所麻酔を使った外科手術になります。難しい手術ではありませんが、まれに脳出血や感染など手技に伴うリスクや喋りにくい、手術後に一時的に精神的に不安定になるなどの副作用を伴うことがあります。

リハビリテーションの重要性とは?

 薬や外科手術と同じくらい重要なのが、リハビリテーション(以下、リハビリ)です。リハビリは、患者さん自身が楽しみながら継続して行うことで、症状改善ややわらげることが期待できます。早期に体を動かす習慣をつけていれば、体力や心肺機能も維持でき、筋力や関節を動かせる範囲も保てます。また、神経の栄養に関係する物質や神経をしなやかに保つ物質が出るとも言われています。
 パーキンソン病と診断されたら、すぐにリハビリを開始することをおすすめします。パーキンソン病の症状改善や進行には、患者さんの前向きな姿勢、積極性がたいへん大きく影響します。「病気である」という事実は受け入れ、「病人にならない」という姿勢で心身ともに積極的に病気と向き合って、出来る範囲で楽しみながら過ごしましょう。

◯おすすめの運動

 「伸ばす」と「ひねる」運動が大事です。ゆっくり「気持ちいい」と感じながら体を動かしましょう。ウオーキングや、飲み物や食べ物の飲み込みが悪くならないように、口周りの体操もおすすめです。回数は少なくていいので、毎日つづけましょう。カラオケで大きな声を出すのもリハビリになります。

水素水の効果とは?

 あまり水を飲む習慣のなかったパーキンソン病患者さんが、水をきちんと飲むことはとても重要です。「むくみがとれる」「体調がいい」などの効用を実感されるようです。そして、パーキンソン病の患者さんが水素水を飲むとどうなるか?1年間の臨床試験をしたところ、一定の効果が見られました。現在、水素水を使った、より大規模な臨床試験がおこなわれています。

新しい治療への取り組みは?

 パーキンソン病の新しい治療法として、遺伝子治療と再生医療の研究が進められています。2014年4月順天堂大学脳神経内科では、iPS細胞を使ったパーキンソン病の細胞移植治療の段階までを視野に入れた、新しい研究室を発足させました。iPS細胞がパーキンソン病治療に応用できるのはまだ先の話ですが、iPS細胞を使った研究でさらに病態の解明が進めば、新薬の開発や新しい診断法の発見などにもつながるなど、大きな成果が期待できるでしょう。

パーキンソン病と診断された方へ

 「パーキンソン病は難病?」「寝たきりになるのでは?」「認知症になったらどうしよう」と不安になる方もいると思いますが、そんなことはありません。パーキンソン病は、適切な治療を受ければほぼ天寿を全うできる病気です。急速に悪化することはありません。どのような病気かを知り、さまざまな治療法を上手に組み合わせることで、病気をコントロールして元気な状態で日常生活を送ることができます。パーキンソン病になったと悲観するのではなく、病気に負けない前向きな考え方がとても大切です。

 パーキンソン病は、生涯にわたって上手につき合っていかなければならない病気です。当然、主治医とのおつき合いも長くなるので、医師選びがとても重要になります。「気になることを質問できない」「説明がわかりにくくて不安」といったような場合は、セカンドオピニオンという制度もあります。  残念ながら今はまだ、医師が力を尽くしてもパーキンソン病を完全に治すことはできませんが、患者さんと2人3脚で病気と向き合い、病気をコントロールするお手伝いはできます。

どんな病気?

どんな治療法があるのか?