進行期パーキンソン病治療への取り組み ‐進行期パーキンソン病最新治療のトレンド

 パーキンソン病は、治療開始当初は薬の効果があり、内服薬や貼付剤だけでも症状をうまくコントロールすることができます。しかし、治療期間が長くなってくると、薬の効果が長続きせずに数時間おきに服薬をしないと効果が切れてしまう状態(ウェアリングオフ)や、薬が効きすぎて体が意図せずに動いてしまう状態(ジスキネジア)といった運動合併症が生じる、進行期パーキンソン病に移行します。運動合併症は、日常生活におおきな支障をきたす場合が少なくありません。
 運動障害疾患病態研究・治療講座は、脳神経内科のパーキンソン病専門医と専門スタッフ(看護師、理学療法士、作業療法士、言語療法士など)が、関連する各診療科・部門(脳神経外科、消化器・低侵襲外科、リハビリテーション科など)と連携して、進行期パーキンソン病治療をおこなう専門のセンターです。最新の治療法をいちはやく取り入れ、それぞれの患者さんの病状、年齢、生活環境や日常生活でのニーズにあった治療を提供するよう努めています。
 従来の経口剤や貼付剤で治療しても運動合併症が出現し、日常生活に支障をきたす場合、装置(デバイス)を使った治療法(デバイス補助療法; Device-Aided Therapy)が選択肢となります。現在、日本では、レボドパ・カルビドパ配合経腸用液療法(デュオドーパ®)脳深部刺激療法(DBS)の2つの治療が可能です。順天堂大学運動障害疾患病態研究・治療講座は、いち早くデバイス補助療法を取り入れ、世界的にも最大規模の症例数を経験しているセンターの1つです。
 これらの治療の詳細、気を付けるべきこと等は、当ウエブサイト内の「診療案内」→「特殊治療」をご覧ください。また、これらの治療を検討してみたいという方は、かかりつけの主治医にご相談の上、当科を受診してください。


デュオドーパ

 2016年の9月から本邦でも行うことが可能となり、当院では、2016年10月から消化器・低侵襲外科学講座(福永哲教授)と連携してこの治療法を取り入れております。
 レボドパ製剤を長期間服薬によりウェアリングオフやジスキネジアが発現する理由が、「胃の働きが悪くなって薬がなかなか吸収部位(空腸)まで届かない」、「レボドパの血中濃度に‘山’と‘谷’ができてしまう」、であることから開発された治療方法です。内視鏡を使用して胃ろうを造設し、専用のチューブを薬の吸収部位である空腸まで挿入します。そのチューブに体外式のポンプをつなぎ、あらかじめ設定した適切な量のレボドパ・カルビドパ製剤を持続的に投与します。それにより、胃を介さずに服薬でき、血中濃度の‘山’と‘谷’がなくなり血中濃度を一定に保つことができるため、薬の効果が速やかに発現しかつ持続し、ウェアリングオフ症状を改善させ、ジスキネジアの発現をおさえることができます。



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脳深部刺激療法(DBS ; Deep Brain Stimulation)

 順天堂大学脳神経内科では2006年よりこの治療方法を行っています。パーキンソン病の治療は薬物療法が原則ですが、長期間の治療では、運動症状合併症が出現したり、お薬の量が増えてしまいそれ以上の増量が困難な方がいらっしゃいます。このような方たちに対して検討される治療が脳深部刺激療法(DBS)です。脳への手術ですが、侵襲はさほど強くはありません。
 脳の深いところに電極となる細い針を、胸部にパルスジェネレーターと呼ばれる小型の刺激電源を埋め込みます。そして、両者をリード線でつないで電極を通し、脳の奥深くに電流を持続的に流すことにより症状の軽減をはかります。レボドパ製剤が効くにもかかわらず、運動合併症が出てしまって困っている方や、幻覚、吐き気などのお薬の副作用のためお薬が十分に増やせない方などに有効です。

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