教授挨拶

 私が医師を目指したのは高校時代に映画「赤ひげ」を見たことがきっかけでした。家業が医者だったわけではありません。当時、映画の中で赤ひげが診ていたのは眼に見える病状だけではありません。頼ってくる患者さんの生活も看れば、家族も観る、そして患者さんの心を視ることで病に向き合っていたように思います。それは先端技術を持って神経難病の克服を目指す現代の医師にとっても、忘れてはならない姿勢です。特に神経難病は脳という一つの臓器だけにとらわれ、単に検査データを読み解いていく力だけで克服できるものではありません。たとえ優れた技術、能力があったとしても、患者さんの立場に立ち、その話を真摯に聞き取ろうとしない限り、私たちは神経難病に向き合う機会すら患者さんから与えられないのではないでしょうか。「患者さんの立場に立った医療」と言うのはたやすいですが、実際には患者さんの生活や心まで知ろうと努力する、または理解しようと行動を起こさない限り、その視点には立てません。
 そのような思いがあって、外来や病棟以外でも純粋に「患者さんの話を聴く」機会を作るようにしております。毎年2回、春と秋にパーキンソン病の患者会の方々や、東京都のパーキンソン病友の会の方々と温泉旅行やバス旅行に出かけます。夕食後に約3時間個別相談の時間を作り、医師-患者という関係ではなくリラックスした場で普段お話しされないような内容もお伺いしております。研究室に閉じこもっていては見聞できないお話も数多経験でき、日々の臨床と研究にフィードバックされていきます。私どもの目指す「フィジシャン・サイエンティスト」(Physician Scientist:研究者の目を持つ臨床医、臨床医の目を持つ研究者)でなくては伝えられない話があり、「フィジシャン・サイエンティスト」だからこそ分かる患者さんの話があると感じております。


脳神経内科 教授 服部 信孝

パーキンソン病克服のために ・ 治験希望患者さんへ

 順天堂医院脳神経内科では医師主導型の治験を目指しています。パーキンソン病の疑いを示唆された患者さん、初期と診断された患者さん、症状が変動している患者さんなどは是非当科での治験を受けていただければと思います。現在医師主導型の治験では水素水の臨床試験と還元型COQ10の臨床試験を行っております。また世界同時進行で行われている治療では当科が日本のセンター的役割をなしております。パーキンソン病を疑われた患者さんはその確認や、治療が適正かを確かめるために、当科でぜひセカンドオピニオンを受けてみてください。