第2回日本パーキンソン病コングレス(JPC)開催報告

第2回JPC(日本パーキンソン病コングレス)が、2017年4月15日(土)と16日(日)の2日間にわたり、東京の日本教育会館で開催された。
今回のテーマは、“狭い道”をどう歩く?~パーキンソン病患者の歩く”道”。開催に先立つ挨拶の中で岡田芳子大会長は、患者の歩く道はずいぶん広くなってはきている。しかし狭い道にさしかかった時、やはり患者はすくみから抜けられない。患者は、狭い道を上手く抜ける方法を探し、もっと広い道を求めている。医師をはじめとした多くの職種によるチーム医療の実践によって、パーキンソン病患者の歩く道がもっと広く、もっと歩きやすくなることを信じ、今回のテーマを設定したと述べた。

1日目の発表テーマと概要

オープニングレクチャー

パーキンソン病理解の基礎知識

座長:順天堂大学 水野美邦
演者:国立病院機構仙台西多賀病院 武田篤

 パーキンソン病は、脳の黒質という部分でつくられているドパミンが不足する病気で、ドパミンの不足によって運動の手順がうまく組み立てられなくなるといった症状が現れる。同時にドパミンは元気の元でもあるため、それが弱くなり、不安や気持ちの落ち込みといった症状も出てくる。しかし、うつ病とは異なるため、励ましや積極的に外出することが大事。
 標準的な治療法は不足しているドパミンを補充すること、そのために様々な薬剤が開発されており、それらを上手く組み合わせて最大限の治療効果が得られるようにしている。薬剤治療と同時に身体を動かすリハビリテーションも重要で、特に全身を動かす運動が有効。なお、パーキンソン病に対して根拠を持って有効性のある治療はすべて病院で行われている。病院外で扱われている治療や薬などに効果がないとは断言できないが、使用の際は医師とよく相談する必要がある。

ランチョンセミナーA

専門医に聞くDBSの真実

座長:大阪大学 望月秀樹
演者:順天堂大学 大山彦光

 DBS(脳深部刺激療法)は、脳に電極を差し込んで胸に埋め込んだ刺激装置から持続的に電気刺激を行い、薬の服用にともなって一日の変動が大きくなった患者さんの服用量を減らし、状態を一定に保ちやすくする治療法。デメリットとしては、手術に伴う合併症の可能性、機械を埋め込むことによる不便さやトラブル、電磁波、刺激による副作用の問題などがある。なお、DBSと薬は改善効果が同じなので、薬の効く症状にはDBSも効くが、薬の効かない症状にはDBSも効かない。
 DBSの適応者は、薬がよく効き、適切な薬剤治療を行っていても日内変動が残ってしまうか、副作用のために十分な量の薬を使うことができない、かつ認知症や精神症状のない患者さん。手術自体は5時間程度で終わり、その後2週間程度の調整入院を経て退院となるが、退院後半年程度は微調整のための通院が必要。なお費用は、特定疾患の申請をしていれば、自己負担の限度額内で収まる。

ランチョンセミナーB

嚥下障害について

座長:愛媛大学 野元正弘
演者:国立精神・神経医療研究センター 山本敏之

 嚥下(えんげ)障害は飲み込みの障害で、高齢者、中でもパーキンソン病患者さんに現れやすく、気管を通って肺に入った食べ物が引き起こす炎症による誤嚥(ごえん)性肺炎、十分に食べられない、うまく薬が飲めないという問題が起きる。パーキンソン病で嚥下障害が現れるタイミングは人によって異なるが、病気になってから15年後には約半数の方が嚥下障害を合併するといわれている。なお、パーキンソン病の死亡原因で一番多いのが肺炎。ちなみに窒息死も日本の患者さんの3.8%に起きている。なお、肺炎は日本人の死亡原因の第4位。
 肺炎の原因となる誤嚥がどのくらいの頻度で起こるのかは、はっきりとわかっていない。病気がなく元気な時でも、慌てて水を飲んだり勢いよく薬を飲んだりするとすごくむせることがあるように、誤嚥は健常者でもある。しかしパーキンソン病の場合はむせない誤嚥が多く、診断を難しくしている。自分で気づいていなくても嚥下障害が出ている場合があるので、1年間で急激に体重が減った方や薬を飲むときにむせる方、食事をとる時に動きの悪い方は嚥下障害に十分注意した方が良い。
 パーキンソン病患者さんの嚥下障害への対策としては、オンの時間に食事をする、顎を引いて飲み込みやすい姿勢で食事をする、食べ物のサイズや柔らかさを飲み込みやすいように調節する、飲み物などの流動性の高いものにはとろみをつける、などの方法がある。また、首の筋肉を鍛える嚥下体操も有効。

シンポジウムA

1.パーキンソン病の早期診断

座長:東京大学 濱田雅
演者:順天堂大学 波田野琢

 パーキンソン病の診断において、運動症状が出たときはドパミン神経細胞がすでに半分くらいに減っており、結構進んでいる可能性がある。運動症状以前に出てくる症状には、便秘、レム睡眠行動異常、日中の眠気、嗅覚障害、うつ症状などがある。なお、ドパミン神経の減少を診るダットスキャン検査を行えば早期に診断がつくが、高価なために簡単に行うわけにはいかない。そういった中で早期診断基準として確立されているのが運動症状以前の臨床症状で、自律神経障害、睡眠障害、嗅覚障害などが知られている。これらの症状がいくつも関連して現れることで、パーキンソン病の早期診断ができる場合がある。

2.パーキンソン病の早期治療

座長:東京大学 濱田雅
演者:埼玉医科大学 高橋一司

 パーキンソン病の早期治療では、レボドパとレボドパ補助薬のバランスの良い組合せが重要。薬物療法開始のポイントは、生活や仕事への支障があるかどうかで、症状の程度、日常生活の不自由さ、職業を勘案して開始する。高齢者や精神症状・認知機能障害を合併している、あるいは当面症状改善を優先させる特別の事情がある場合はレボドパで、それ以外の場合はレボドパ補助薬で開始して不十分な場合にレボドパを加えていく。なお、レボドパで治療を開始した場合でも不十分な場合にはレボドパ補助薬を加えていく。ちなみに、レボドパ補助薬で開始した方がジスキネジアの発現が少ないが、運動症状の改善ということにおいてはレボドパが優れている。なお、薬物治療に加えて運動療法も重要である。また非運動症状の治療に関しては、個人差が大きいので、主治医に伝えることが大事になってくる。
 いずれにせよパーキンソン病の診療及び治療は、早期の段階から、患者、家族・介護者を中心として、主治医・医療スタッフ、介護・福祉スタッフとのチームプレーで、参加型の診療が理想的。

シンポジウムB

1.パーキンソン病と認知

座長:関東中央病院 織茂智之
演者:日本医科大学 永山寛

 パーキンソン病の非運動症状には、うつ、嗅覚障害、睡眠障害、自律神経障害などに加えて、認知の障害も認められる。なお社会生活が営めれば認知症ではない。
 認知機能障害には、記憶、判断力、遂行機能、記銘力などの障害が主にあるが、パーキンソン病における認知機能障害は記憶障害以外のものが多様に出現する。早期のパーキンソン病では、遂行機能障害、注意障害が見られ、次の段階になると視空間認知障害、記銘力障害などが見られるようになる。
 ただし、パーキンソン病の認知機能障害は運動症状の治療によって改善する可能性もあるという報告も出ている。

2.パーキンソン病とうつ状態

座長:関東中央病院 織茂智之
演者:早稲田大学 堀正士

 うつ状態は気分障害というジャンルに入り、気分の振れ幅が非常に大きく、寛解と再発を繰り返すという特徴がある。身体疾患の患者さんに多く、パーキンソン病患者さんの頻度が50%近いという報告もある。うつ状態になると、まず睡眠障害などの身体の症状が出てくるが、身体症状のみということまずありえない。しかし、精神症状に関しては患者が自ら語ることはほとんどなく、診察でしっかり聞かないと出てこないというのが実情。
 さて、パーキンソン病の患者さんがうつ状態になると運動能力がさらに低下する。こういった症状を含めてうつ病と重複している症状が多く、精神科医がうつ症状の背景にあるパーキンソン病を見逃す可能性を高くしている。よって、パーキンソン病におけるうつ診断は、抗パーキンソン薬の薬効のある時に行う、ということがポイントになる。
 また、パーキンソン病におけるうつ状態は器質性で、病気が原因の非運動症状の一つである考えられるが、ストレスといった心因性の要素もあるといわれている。そのため、治療においては両者の視点が必要。

シンポジウムC

1.パーキンソン病と介護 座長:城西神経内科クリニック/コーラルクリニック 石垣泰則


〇心を繋ぐ言葉

演者:患者

 80歳代のご主人は「介護、若いころ妻に苦労をかけたから、その恩返し。でも、今はおつりが出ているかな。毎日の事だけど、妻が笑顔で返してくれることが元気の源」と、にこやかにさらりと話す。奥さん、患者70歳代「お父さんが喜んでくれるなら、なるべく笑顔でいるように。たまには一人の時間があるといいな」  あと5ミリお尻が動いたら…、あと5五ミリ足が動いたら…、あと5ミリパジャマのよじれが…。「あと5ミリ」は、自分だけのわがままなのか。夫は、「動かない」ということを本当に理解できていない。思い切って訴えると、「2人分の作業をしなくてはいけないのだから、あれもこれもできないよ」
 患者も介護者も同じ大きさの心、一方に傾くと心のバランスが崩れる。でもある日、夫が「僕が介護できているのは、あなたを愛しているのはもちろんだけど、尊敬しているから」今は、言葉が支え。見つけましょう、患者と介護者の心を繋ぐ言葉を。


〇家族から見たパーキンソン病

演者:患者家族

 リハビリなどについての要望―患者自身の体力づくりと意識改革のできるリハビリを望む。
 患者や家族が元気で明るく生きる社会になるためには、患者自ら好きなことを行い、患者同士が助け合って生きることが一番大事。そのためにはまず、体力増強が必要。外出しないで家に引きこもっていると、黙っていても寝たきりの病人になってしまう。寝たきりではなく、明るく元気で長生きするためのリハビリをお願いしたい。

〇パーキンソン病と介護

演者:自治医大ステーション・ブレインクリニック 藤本健一

 パーキンソン病の介護の難しさは、単なる運動症状の病気ではなく心の病気でもあること。発症初期は、石橋を叩いて渡らないほどの心配性の方が多く、背中を押してあげることが必要。そして、病気が進行するとオンとオフに悩まされる。ある患者さんがブログに、“すくんでいるときに不用意に手を出さないでほしい。必死でバランスを取っているときは、ちょっと触られるだけでひっくり返ってしまう。この病気は他の病気とは違うので、気を遣い過ぎないでいい、こちらが必要な時は言うので、その時だけは手を貸してほしい”と書いてあった。オンとオフがあるという病気を理解して、患者さんの求めに応じた対応をするということが重要。 パーキンソン病の治療が劇的に進歩し、生命予後が長くなったということは、介護期間が長くなるということにも繋がり、いずれ老々介護になってしまう。そうなると、患者さんも大変だが、介護者も大変。元気で長生きをしなければいけない。


2.パーキンソン病と福祉

座長:城西神経内科クリニック/コーラルクリニック 石垣泰則


〇パーキンソン病と福祉

演者:埼玉総合リハビリテーションセンター 市川忠

 平成27年から始まった「難病医療費助成制度」への移行処置が平成29年で終了する。新制度では、前制度で認定されていなかったH-Y1,2度の軽症でも、医療費が1回33,330円を年3回超えれば、軽症者特例として認定されるようになった。なお、月額50,000円以上の医療費が5カ月以上あれば更に自己負担が減ってくる。
 介護保険に関しては、40歳以上で診断があれば重症度にかかわらず認められる。また障害者総合支援法において、身体障害者制度は手足の筋力や関節可動域で判断することが多いので、パーキンソン病は歩行距離で判断してもらうとよい。支援は自治体によって異なるので、各市町村窓口での確認が必要。
 ただし、難病の認定は保健所、介護保険はケアマネを通じて市町村の介護保険課か高齢者福祉課、そして障害者総合支援法は市町村の身体障害者福祉課と、窓口も基準も異なっている。これらがワンストップで行えるような行政サービスの導入が望まれる


〇対話で教官、そして変革を

演者:特定社会保険労務士 佐々木久美子

 障害年金の不服申し立ては、厚労省や日本年金機構との対話に近く、手続きの流れは、裁定請求→審査請求→再審査請求。今年の4月に障害年金センターが設立され、裁定請求が東京一極で審査されるようになった。裁定請求でうまく決定されなかった場合は、審査請求で社会保険審査官の決定を仰ぐ。通常はここで挫折するが、その先に社会保険審査会という第三者による審査があり、こちらの方が認められる確率が高い。それでもうまくいかない場合は裁判になる。なお、不服を申し立てると自動的に日本年金機構で再審査され、審査請求や再審査請求を経ないで要望が通ることもある。 裁定請求で留意することは、
・重ければ良い訳ではなく、適正な状態が表されるよう注意すること。
・20歳前傷病以外は所得制限がなく、就労や稼得、資産で制限されることもないし、一人暮らしも制限されない。
・厚生年金に拘らず国民年金も視野に入れる。
・病名が多いと逆にうまく決定されない場合がある。
などである。 社会保障を使いこなして、リハビリの回数を増やしたり、治験に参加したり、薬剤を調整したり、そうして自分の人生を生きてほしい。


〇利用・活用されてこその福祉

演者:全国パーキンソン病友の会東京支部 支部長

 いくら立派な制度でも、利用されなければ単なる条文に過ぎない。新しい助成制度の大きな変化は軽症者特例が加わったことだが、正しく伝わらないと意味がない。友の会を通じていかに普及、定着させるか、そして自ら理解していくことが必要。そのためには、友の会の役員は他人に説明できるまでに理解する、都度会報に掲載する、会議には家族でもいいから参加して説明を聞いてもらうよう訴える、といったことを行っている。しかし、友の会の組織率はパーキンソン病患者の5%に過ぎない。そのため、薬局の薬剤師やケアマネージャー、製薬会社のMRへの働きかけなど、他の95%に対する活動も行っている。
 パーキンソン病を取巻く福祉制度は、難病助成以外にも障害者総合支援法、介護保険などがある。しかし制度が縦割りであるため、患者の立場としては各制度を横に行ったり来たりしているのが現実。そこで、ワンストップ的なサービスを行っている地域包括支援センターというのが各自治体にあるので、今後は活用をしていきたい。

シンポジウムD

1.自律神経症状について

演者:埼玉医科大学 山元敏正

 パーキンソン病では様々な自律神経症状がみられるが、その中で心血管系の症状として起立性低血圧と食事性低血圧がある。起立性低血圧の症状は、ふらつき、めまい、立ちくらみなどで、あまりにも血圧が下がると意識を失うこともある。食事性低血圧は、これらの症状に加えて眠気などが症状としてあり、起立性低血圧よりも頻度が高い。パーキンソン病の起立性、食事性低血圧は、発病初期には日常生活で問題になることは少ないが、進行期では支障が出ることがある。治療は非薬物治療を優先する。
 MIBG心筋シンチグラフィ検査はパーキンソン病の診断に有用であるが、これは心臓交感神経の障害を見ている。なお、仮にMIBGの数値が低下していても心疾患になるということはない。
 発汗系の症状である発汗過多はパーキンソン病に特異な症状で、体温調整中枢である視床下部の障害によって生じる。
 消化管系の症状については、食欲低下、悪心、嘔吐、胸やけ、下部消化管ではお腹が張る、腹痛、便秘がある。非薬物治療としては、食物繊維をよく摂る、水分摂取、運動療法がある。なお、パーキンソン病で注目されている運動症状発現の前の症状の一つが便秘、頻度が高く、最も早い時期に出るといわれている。


2.パーキンソン病とオートファジー

座長:昭和大学 村上秀友< br> 演者:順天堂大学 斉木臣二

 昨年、大隅先生がオートファジーの基礎研究レベルでノーベル生理学・医学賞を受賞された。オートファジーは、自分の古くなったタンパクなどを壊してリサイクルする機能で、生物が壊すことによって生きながらえる術として存在している。そして、人の病気でオートファジーが欠損しているものがあることが分かった。
パーキンソン病でも、神経細胞の中に顕著にたまってくるαシルクレインや障害ミトコンドリアなどがオートファジーによって分解されるということが分かってきた。そして、病気の進行をオートファジーによって防止・抑制することができないかという研究が進められている。内容としては、すでに保険適用されている既存薬の中からオートファジーを誘導する成分を持ったものを探し出し、パーキンソン病発症の要因とさている異常なミトコンドリアのみを認識して分解するマイトファジーを誘導するかどうかの確認をした。今後は、動物での有用性を証明して、医師主導型の治験を計画していく。

イブニングセミナーA

水素水の効能

座長:名古屋大学 平山正昭
演者:日本医科大学 太田成男

 水素とは化学式H2のことで、誰もが知っている分子。2007年に、水素が、体に必要な活性酸素はそのままに、酸化力の強い活性酸素だけをなくすという論文発表を行った。以来、水素の治療効果や予防効果に関する色々な研究が行われ、ほぼすべての臓器に対して効果があることが示されている。
 また水素は、救急の場合は水素ガス、慢性病の場合は水素水、といったように状況に応じた方法がとれる。最近では、水素を発生させる腸内細菌の研究もされている。そして臨床試験も行われており、心肺停止、脳梗塞、歯周病、運動後の筋肉痛などで結果が出ている。
 これらの研究を治療として進めようということで、昨年、厚労省の先進医療として承認された。現在は、全国の15以上の病院で360例の心肺停止の方に水素ガスを吸わせるという、研究と治療が進められている。
 パーキンソン病においても、水素が産生を促進する胃から出るホルモンが、ドパミン神経の脱落を軽減するということが動物実験で分かってきた。臨床試験では、腸内細菌の研究や、順天堂大学での臨床研究が進められている。順天堂大学では、すでに小規模の研究であるが改善効果が認められており、現在、176人14施設で1日1リットルの水素水を72週間飲ませる大規模研究が進行している。

イブニングセミナーB

パーキンソン病の治療(DBSも含めて)

座長:埼玉県総合リハビリテーションセンター 市川忠


〇パーキンソン病(PD)の治療

演者:順天堂大学 下泰司

 1960年にパーキンソン病患者さんの脳内ドパミンが減少していることが発見されて以降、ドパミン製剤やドパミン受容体を刺激するような薬などの開発や改良が進められてきた。さらに動物実験で証明された2年後には脳深部刺激療法(DBS)が人間に対して行われたように、パーキンソン病では、新しい発見がすぐに治療に結びついている。現在、非常に多くの種類のパーキンソン病治療薬があるが、患者さん個々の症状が異なるので、全く同じ薬を同じように飲んでいる方はほとんどいない。
 しかし、いずれも対処療法なので、薬を長く飲んでいるとウエアリングオフやジスキネジアの問題が出てくる。対応する方法としては、ディバイス エイディッド セラピーという、機械を使って行う治療法がある。一つはDBS、もう一つは昨年9月から日本でも行われるようになった治療法で、お腹に作った胃ろうから空腸まで通したチューブに、ポンプを使ってジェル状のレボドパ製剤を持続注入してドパミンの血中濃度を安定させるという治療法である。この治療法は、薬をかなり頻回に飲まないと日常レベルを保てない患者さんに対して取られることが多く、すべての患者さんに有効なわけではない。しかし、現在服用しているレボドパがよく効くがすぐ効果が切れてしまう患者さん、もしくはジスキネジアに困っている患者さんに対しては一定の効果がある。


〇脳深部刺激療法(DBS)について

演者:順天堂大学 梅村淳

 パーキンソン病の治療は、脳の一部を破壊する外科手術が最初に行われたが、レボドパが使われるようになって以来、薬物療法が主体になって来た。しかし、レボドパを長年使うことによっていろいろな問題が生じてきたため1990年代に再度外科手術が行われるようになった。そうした中で発達してきたのが、脳深部刺激療法(DBS)である。DBSは脳の電気刺激で症状を改善する治療法で、そのためには手術によって刺激装置を体内に設置する必要があるが、従来の手術に比べて脳を破壊しない上に、調節性ができるというメリットがある。効果はレボドパと同じだが、すぐに効く、常に一定の効果がある、という点が薬と異なる。
 DBSの対象となる患者さんは、まずパーキンソン病であること(パーキンソン病症候群には効果がない)、そしてウエアリングオフやジスキネジアで困っている患者さん。その他、震えが強い患者さんや、幻覚などのために薬を増やすことができない方にも適応になる。DBSの効く症状は、振戦、筋固縮、無動、日内変動、ジスキネジア、オフ時の痛みなどで、薬を大幅に減らすことができる。一方、言語、嚥下、バランス障害などの体軸症状やオンの時のすくみ足、自律神経症状、精神・認知症に対する効果は期待できない。
 なお、DBSも薬と同様に対処療法であって、根本的に病気の進行を止めることはできない。また、薬にとって代わる治療法ではなく、作用機序の異なる2通りの治療法によって良い状態をより長くするために行う治療法で、適切な患者さんに適切な時期に導入することが重要。

2日目の発表テーマと概要

2日目は、順天堂大学の服部先生とシンガーソングライターの樋口さんの対談と、樋口さんのミニコンサートで始まった。そして最後は、服部先生による閉会のあいさつ。ちなみに参加人数は、事前が580名、当日が189名、計769名。そして次回は、2019年のWPC京都で開催の予定。


オープニングセミナー

患者の素朴な疑問に答える

演者:順天堂大学 服部信孝
シンガーソングライター 樋口了一(患者歴10年)

―熊本在住の樋口さん、地震の時
 8階の仕事場にいた。とても立っていられない状態で、よく怪我をしなかったと思う。一年後の余震で、またフラッシュバックした。地震の時に薬がどこにいったかわからなくなったが、災害時は処方箋がなくても「お薬手帳」で薬が出ることを知った。薬を分散して置いておくことも重要。なお、学会でも災害に備えた組織体制を構築中。
―発症した頃と比べて
 薬で改善されているが、ずいぶん進行しているのではないかと思う。体幹が固まるタイプなので、声を出すのが困難になってくる。お腹からしっかりと出さないといけないので、病気になって初めて正しい発声方法を習った。
―大きい声を出す工夫
 意識して腹式呼吸をする。遠くにいる人を呼ぶ時は、自然に腹式呼吸で声が出る。普段からそういった意識で過ごしていると、お腹から自然に声が出るようになる。
―悲観的になるより、楽観的に
 気分が落ち込んだり心配事があったりすると症状が悪くなる。気持ちを穏やかに保つのがとても大事。
―音楽活動を続けるために心がけていること
 お客さんに聞いて頂ける間は続けたい。伝えることで、ある種の達成感も湧いてくる。お客さん一人一人が何よりもの処方箋。そのことに感謝し続ける気持ちを忘れてはいけない。
―仕事を続けることによるストレス
 困難に対して、もう駄目だと思うか、まだいけると思うか次第。もう駄目だと思ってはいけないのではなく、その後にもう一回やれると思えることが大事。
―病気に思うこと
 「あの人はパーキンソン病です」を、英語では‘he has a Parkinson’s disease‘と言う。このパーキンソン病という荷物を必ず下すときが来ると信じて、その日まで持って歩き続ける。

シンポジウムE

1.パーキンソン病の新薬

座長:福島県立医科大学 宇川義一
演者:名古屋大学 渡辺宏久

 運動合併症への対処のためにはレボドパ製剤の持続的投与が大切で、昨年にはレボドパ/カルビドパ配合経腸用液療法が承認された。最近では経皮注射型の持続投与製剤の治験も行われている。なお、突然のオフ対応としてレボドパの吸入製剤や非ドパミン系の薬剤の開発もいろいろとも進んでいる。 運動症状とは異なるが、海外では、精神症状に対する薬もいろいろ扱われるようになってきている。また、DBSの副作用である声が出づらくなることへの対応もできるようになってきている。 病態抑止治療では、パーキンソン病メカニズムが分かってきて、カフェインによる抑止効果、尿酸による効果、降圧剤による効果などが海外で研究されている。また、αシヌクレインに対する抗体療法や、オートファジーによる治療の研究も進められている。このようにいろいろな研究が進められており、パーキンソン病の新薬開発が現実になる日もそれほど遠くはないと思われる。しかし、もう一つ大事な病態抑止療法は、前向きに頑張ること。


2.パーキンソン病のiPS細胞移植治療

座長:福岡大学 坪井義夫
演者:京都大学 高橋良輔

 パーキンソン病の細胞移植治療はすでに行われていて、最もよく行われていたのが胎児の中脳腹側細胞で、現在挑戦しているのがES細胞とiPS細胞。移植細胞の働きとしては、ドパミンを作ってくれること、薬を飲んだ時にエルドパをドパミンに分解してくれて薬の効きが良くなること、新しい神経回路を作ってくれてオフとかジスキネジアがあまりないような状態で薬が効くこと、などが考えられる。ただし自律神経症状や認知機能症状、精神症状といった、ドパミンに反応しない症状には効かない。
 胎児中脳腹側細胞移植は、過去に有効性が示されなかったために10年以上行われていなかった。その後、60歳以下の若い患者さんや運動症状の軽い患者さんには効果があることが分かり、ヨーロッパで開発が再開されている。ES細胞は、海外で盛んに使われていて、胎児の細胞と同等の機能を示したという論文が出ている。ただし、ES細胞もiPS細胞も人工的であり、完全ではない。
 iPS細胞は、胎児のように倫理的な問題もなく、限りなく増やすことができる。また、自家移植をする場合には理論上拒絶反応がない。課題は、本当に成熟したドパミン細胞になるかどうか分かっていないこと。大きいのは、腫瘍形成のリスク。しかし、有望な細胞だけをより分ける技術が開発され、安全性が高められてきてはいる。最近、自家移植に代わって他家移植で医師主導治験を行うことに決まった。平成31年くらいから治験を始められるのではないか。

ランチョンセミナーC

進行期パーキンソン病の課題

座長:和歌山県立医科大学 伊東秀文
演者:順天堂大学 波田野琢

 ドパミン神経が減少すると、余分に放出されたドパミンの調節ができなくなり、レボドパ製剤の服用直後にはジスキネジアが発現する。また、レボドパの効果が切れると、ドパミン神経内にドパミンが貯蔵されていないこともあってウェアリングオフが発現する。このため、ジスキネジアやウェアリングオフなどの運動合併症の治療は、レボドパの血中濃度をいかに安定させるかが重要。進行期の症状には、薬剤の選択や投与回数の増加以外にも、薬剤の投与経路の工夫や脳の電気刺激でも対応できるようになった。
 患者さん、家族の方を対象に実態調査をしたところ、運動症状と同程度に不安、発汗、注意力低下、疼痛などの体の痛み、尿トラブル、傾眠、易疲労、言葉の流暢性の低下、行動の計画・遂行機能の障害、周囲への関心の低下、幻覚などの非運動症状で困っていることが分かった。重症度が進むと服用する薬剤の錠数が増えてしまい、きちんと服用できなくなる可能性が高くなるが、そのような時に体調の変化がある場合という答えが半数以上あるので、出された治療薬はすべてきちんと服用し、もし服用したくない場合には主治医と相談することが大切と言える。

シンポジウムF

WPCやこれからのJPCについて

司会:京都大学 高橋良輔

JPCについて

演者:第2回JPC大会長 岡田芳子

 これからのJPCには、患者と医療関係者、周囲の人が共同で作り上げていくという認識が必要。患者が発表し、医師たちと共有する。そういった機会を設けるのがJPC。そのためには、患者もある程度専門的な正しい知識を持たなければならない。そして、継続したテーマや課題を決めて発展させていきたい。

〇京都でのWPC

演者:ワールドパーキンソン病コングレス(WPC) Elizabeth Pollard(USA)
通訳:順天堂大学 大山彦光

 WPCはアメリカで始まった学会だが、次回の京都では午前中のセッションを同時通訳で行い、午後には日本語のみのセッションも用意することを考えている。そして、レベルは高くても、参加者が楽しめるような工夫をしていきたい。早速、日付をカレンダーに書きましょう。2019年の6月4日~7日です。そして、主治医を始めとした周りの人たちに伝えましょう。

〇APPA報告

演者:患者(患者歴35年)

 3月12日~13日の間、マニラで行われた第11回アジアパシフィックパーキンソン病カンファレンス(APPA)に参加した。友の会からの参加は、患者10名と介護者及び家族7名、計17名。会議は患者主体の内容が多く、日本も患者会の活動発表を行った。

〇WPCに参加して

演者:患者(病歴12年

 2016年にポートランドで行われたWPCは、60ヵ国から4,000人が集る盛大な会議で、会場内にはいたる所にボランティアがいて、何かあればすぐに助けにきてくれた。最先端の発表が多い中、パーキンソン病に勝つためにはポジティブな態度と健全な精神で立ち向かうことが大事。そのためには、運動、ダンス、カラオケなどを積極的に行うべき、というユニークな発表もあった。

〇WPCについて

演者:患者(USA)
通訳:順天堂大学 大山彦光

 WPCで重要なのは、各分野の専門家がお互いの知らない情報を交換しあうこと。それぞれの国で、どのように病気にかかって、どのような薬を処方されて、どのように対処しているのか。そして最も重要なことは、どのようにベストな治療をするかということ。患者は、パーキンソン病を“持っている”専門家でもある。

フォーラムディスカッション

チーム医療を考える

座長:国立精神・神経医療研究センター 村田美穂

 かつてチーム医療は、医師や看護師、ケアスタッフといった医療スタッフのみのチームであった。しかし現在では、患者さんやご家族の皆さんもチームの一員になっている。チーム医療を進めていくために、それぞれの立場からの話を伺う。

〇患者の立場から

演者:患者(患者歴5年)

 患者として、周りのスタッフに支えられていると感じていても、例えば理学療法士や作業療法士の仕事の内容まで知らない場合が多い。今日は、それぞれの職種がどういう仕事をしているか、そして、それぞれの職種においてどういうチーム医療がなされているのか、ということを話してほしい。


〇開業医の立場から

演者:本町クリニック 服部優子

 20人のクリニックスタッフ全員で当日の患者さんの状況を共有し、夜にはカンファレンスを行っている。そして週1回、調剤薬局の薬剤師を招いて薬の勉強会を行うと同時に、ヒヤリ・ハット対策を行っている。また、他の開業医との連携による在宅医療の24時間対応、音楽療法士を始めとした各療法士やヘルパーとの連携による患者家族を含めた音楽療法など、地域密着形のチーム医療を行っている。


〇専門医の立場から

演者:国立病院機構医王病院 駒井清暢

 医王病院には、大きく分けて3つのチームがあり、パーキンソン病においては、呼吸ケアサポートチームが呼吸機能の評価と排痰補助、栄養サポートチームが栄養状態の評価と栄養改善の支援、緩和ケアサポートチームが意思決定支援を行っている。支援においては、患者さんや家族と医療者との十分なコミュニケーションが重要となってくる。チーム医療で重要なのは、患者さんがチームの中にいるということ、患者さん家族と連携が取れるということ、患者さんの生き方を押し付けではなく柔軟に支えるということ。強力なリーダーやエキスパートの存在ではない。

〇理学療法士の立場から

演者:文京学院大学 望月久

 パーキンソン病において理学療法士は、運動に関する問題、特に手の機能、移動機能、姿勢を変換する、あるいは保持する機能、構音機能、嚥下、呼吸などの運動療法に関わっている。運動療法以外でも車椅子などの補助器や手すりなどの環境整備といった介助方法の指導や呼吸の維持などの受動的な運動療法にも関わっている。そうした中、各医療職がそれぞれの領域内に留まっていては、患者さんや家族の多様なニーズに対応ができなくなってしまう。チーム医療では、各職種ができることを拡げていって、それぞれを許容し、相互理解することが重要。


〇言語聴覚士の立場から

演者:国立・精神・神経医療研究センター 中山慧悟

 摂食嚥下障害において、言語聴覚士は、嚥下機能や食事評価、食事形態や食べ方の指導、リハビリテーションを行っている。なお、食事の姿勢などの調整は理学療法士や作業療法士が、口腔ケアは看護師が、服薬状況の確認は薬剤師が、それぞれ行っている。さらに、歯医者、栄養士にもそれぞれの指導を行ってもらっている。 発音や声の問題に対しては、声を大きくする訓練や発話速度を調節する訓練、発話機会を確保する活動を行っている。コミュニケーションの重要性を寝たきりになって初めて気づく方が多いが、そうならないためにも早期からのトレーニングを行いましょう。


〇薬剤師の立場から

演者:とくひさ中央薬局 小林星太

 パーキンソン病は、他の神経疾患と比べて明らかに薬の量が多く、副作用や相互作用、医療費の負担など、薬に関する多くのリスクがある。かかりつけ薬局として飲み合わせの事故を防いだり、患者さん家族やケアマネージャーと連携して薬剤費の高額化対策を行ったり、訪問看護師やヘルパーさんなどと協働して高齢患者さんのケアを行ったり、あるいは新しい薬の副作用対応など。チーム医療における薬剤師の役割が重要になっている。

ラウンドディスカッションA

歩行・姿勢を考える


〇パーキンソン病における歩行と姿勢を考える

担当:順天堂大学 大熊泰之

 パーキンソン病における歩行障害の特長は小刻み・すり足で、歩調はゆっくりのことも小走りのこともある。すくみ足は、足底が地面にくっついたように一歩が踏み出せず、転倒の原因にもなる。歩くときは、常に踵から接地する、心の中で号令をかける、膝をわざと高く上げる、足が揃ったら一歩下がる、大回りで方方向、転換するなどを心がけると改善につながる。
 また、パーキンソン病の典型的な姿勢は前屈と猫背で、左右への傾きが加わることも多い。前屈姿勢が極端になると腰曲がりと呼ばれるようになるが、病気の進行とともに増加し、腰椎圧迫骨折、脊椎手術歴などがリスク要因になる。なお、ドパミンアゴニストによって姿勢が悪くなることもあるので、注意が必要。姿勢異常の予防や改善にはリハビリテーションが重要だが、最も大切なのは、毎日こまめに体操する習慣をつけること。

〇歩行・姿勢を考える

担当:滋賀県立成人病センター 中馬孝容

 パーキンソン病の姿勢を単純に修正すると、かえって不安定性が増す。そのため、前屈は代償的なものであるといわれている。また、後方や側方へ転びやすいのは、歩隔の減少と股関節や体幹筋の同時収縮による姿勢反応の低下によるものされているが、一方ではこのことによって歩行時の重心移動を容易にしているとも考えられている。また、すくみ足は、歩行開始時や目標物の近くまで来た時、あるいは疲労がある時などに生じやすく、転倒の危険性が増す。これらを改善していくためには自主練習の継続が必要で、運動や体操の習慣化や姿勢に対する意識化が重要なポイントとなる。

ラウンドディスカッションB

若年性患者の抱える問題


〇パーキンソン病における歩行と姿勢を考える

担当:NPO U60チャレンジド・サポーターの会 時子山昭仁
患者2名
日本大学 深谷親
関東中央病院 織茂智之

 第1回JPCのアンケート結果より、病気の症状、メンタルケア、生活経済を検討課題として設定し、若年現役世代が抱えている身近な問題を会場より抽出。

・診断までの時間が掛かりすぎ、生活や仕事に影響が及ぶ
 一般的にパーキンソン病の発症は60~70歳が多く、運動症状が現れると思われているが、最近では非運動症状が大事であることが分かってきている。しかしこういったことは、一般医ではあまり詳しく知られていない。まして若い方がどんな症状で発症するのかは、書かれたものも殆どない。アンケートでは、関節の痛み、肩の痛み、ひじの痛みなどが初期症状として出ている。こういうこともあるということを知っていれば、少しは診断が早くなるかもしれない。それと若年に対する認識。そのためには医師に対する啓蒙活動が大事。特に若年性は一般と異なる症状が出るかもしれないので、発症時のデータ蓄積も必要になる。学会でも早期診断のための話し合いをしているので、患者さんのデータ協力を仰いで進めたい。

・告知されたときはショックで死にたくなったが、家族の力もあり頑張っている
 若年性のパーキンソン病の方は、仕事があったり、配偶者がいたり、あるいはこれから子育てしなくてはいけなかったり、一般の方よりも更に厳しい局面が待っている。そういう方に対する告知は、本当に慎重にしなければいけない。「心配しなくていいですよ」と言われて安心したと書いているアンケートがあるが、その一言だけでも随分違うのだろう。状況が変わるはずはないが、言葉には重みがある。寄り添う気持ちが大事。

・会社を辞めるべきか否か悩んだが、今はできることをするようにしている
 病気になると検査などで休みがちになる。有給がなくなれば欠勤、そして休職。復職のためには休職前よりも症状が良くないといけないが、パーキンソン病は進行性の病気。そういった場合には、脳深部刺激療法(DBS)が助けになる可能性がある。DBSの底上げ効果によって終日オンの状態が維持できるようになるとともに、肩代わり効果によって薬の不足分を補う事ができるし、薬の減量によって副作用の軽減にもなる。薬の効きにくい振戦に対しても反応する。DBSで全てが解決する訳ではないが、検討しても無駄ではないと思われる。若年の方は先が長い。いずれ必要になるのだったら早めの方が手術の合併症も少ないし、効果も長く続く。

・子供は?遺伝子の話
 人間には22対(44本)の常染色体と2本の性染色体がある。家族性パーキンソン病は1対の常染色体遺伝子によって発症するが、遺伝形式には常染色体優性遺伝と常染色体劣性遺伝の2つがある。常染色体優性遺伝は、1対の染色体に遺伝子があれば50%の確率で遺伝、つまり片親がパーキンソン病の場合の子どもの発症確率は50%になる。常染色体劣性遺伝は、1本の染色体遺伝子を両親で持っている場合で、遺伝の確率は25%になる。ただし、片親が持っていてももう片親が持っていなければ、子どもの発症はない。また、遺伝子に変異があっても全員が発症するわけではない。心配であれば、家系図によってパーキンソン病患者の存在を調べてみるのも良い。